

大学生の頃の私は、就職活動や卒業論文でへとへとな毎日を送っていました。その上タイミングの悪いことに母親が入院してしまい、家事や入院生活のサポートなどに奔走し、体力と精神が擦り切れてしまいました。
上手くいかない就職活動と慣れない家庭の切り盛りのことで、薬を飲まなければ眠られないほど消耗していました。心にあったモヤモヤや不安感をどうにかしたいと思い、ふと目についた駅ナカの占いコーナーに立ち寄りました。
占い師の方には、オーソドックスな占いの手順で生まれ星のことや運勢などを説明してもらいました。薬を飲んでいることは伝えませんでしたが、「今とても辛い時期じゃない?」とか、「どこにもいけない迷子の状態ね」などズバリと言われました。
その時印象的だったことは自分の占いの結果ではなく、他のお客さんの話です。私よりももっと年配で、同じように人生と家族のことで思い詰めていたお客さんがいたそうです。
それが占いにも出ていたらしく、その占い師の方はとにかく一度思い切って休息することを強く勧めました。その後しばらくしてから、運が上向いてきたのか前向きにやっているよ、とお客さんは報告しにきたそうです。
「そういう人も世の中にはいるし、思い切って休息してみたらどう?」と、私にも同様にアドバイスしてくれました。今思えば、占いというよりただの人生相談です。
でもその言葉がきっかけで、忙しい生活を一度放り投げて、ゆっくり落ち着いて考えてみました。時間はかかりましたが、徐々に上手く体調管理や進路のことを決められるようになり、薬も手放すことができました。
私にとって占いは、単に当たるかどうかではなく、思い詰めたときに立ち止まるためのきっかけのひとつで、占い師は人生アドバイザーなのかもしれません。